聖マタイ修道院

聖マタイ修道院

モースルの郊外、アルファフ山の頂上近くに、シリア正教の古い修道院が残っている。
4世紀の隠遁者の名を冠した修道院には、このような伝承がある。

時のアッシリア王センナケリブの息子ベーナムは、狩りの最中に迷って洞窟で一夜を過ごし、導かれるように聖マタイと出会う。
不思議な力を感じた彼は、らい病を患う妹のサラを連れて来ると、聖マタイは奇跡で病を癒し、感謝したベーナムとサラはキリスト教に改宗した。
ところが、それが気に入らない王は、怒りのあまり二人を処刑し、自身も気が狂ってしまう。
息子ベーナムの姿を夢に見た王妃は、錯乱する王を聖マタイの元に連れて行ったところ、王はようやく我に返った。
自らの過ちを反省した王は、聖マタイに洗礼を授かり、返礼として修道院を建てたのだった。

ISの侵攻が続いた2年の間、この修道院は常に前線から3kmに置かれていた。
しかし、眼下で激しい戦闘が絶えない中でも、聖職者たちは自らの運命を天に委ね、決してここを離れようとしなかったという。
結果、ISが到達することはなかった。ペシュメルガの部隊が持ち堪えたのだ。

長年の憧憬ゆえか、いくつもの検問を越えて辿り着いたからだろうか。
眼下に広がるニネヴェの平原は、神々しく光を放っているかのようだった。

修道院へと続く道(2017)

今は車で登ることができる(2017)

修道院を望む(2017)

ここで許可を取らなければならない(2017)

石造りの荘厳な建物だ(2017)

現在の建物は近年に修復されている(2017)

修道院の入口(2017)

内部には難民数家族が暮らす(2017)

十字架の後方が最初期の建物だ(2017)

全てを包み込むような穏やかな司祭(2017)

許可を得て内部に入る(2017)

古代言語であるシリア語が刻まれている(2017)

神々しい鐘楼(2017)

巡礼路は天上への階段のようだ(2017)

写真・文:田村公祐

 
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