アルメニアの首都エレヴァンの歴史は古代に遡ります。碑文によれば紀元前782年、かつてこの地に存在したウラルトゥ王国により、要塞都市エレブニが築かれ、エレヴァンの由来となったとされます。
ウラルトゥの滅亡後は、様々な勢力が往来を繰り返しますが、エレヴァンの地には集落が存続し、交通の要衝として繁栄しました。1918年の独立以降は首都に制定され、ソビエト連邦時代を経て、再独立後の現在も経済や文化の中心地であり続けています。
現在のエレヴァンの市街地はソビエト連邦時代の初期、アレクサンドル・タマニヤンにより設計されました。古来の旧市街は残っておらず、猥雑な情緒こそないものの、建築にはバラ色の火山性凝灰岩が多用され、独特の景観を示しています。
市街地は共和国広場を中心に広がり、すぐ外側にはフラズダン川が流れ、市域の南東部にはエレブニの遺跡が保存されています。中心部の高台からは、晴れた日にはアララト山を望むこともできます。
啓蒙者グリゴル大聖堂
アルメニアのキリスト教受容1700年を記念し、1996年から2001年にかけて建てられました。当時の王トルダト3世とアシュヘン王妃に捧げられた礼拝堂と、王をキリスト教に導いた啓蒙者グリゴルの名を冠した大聖堂で構成され、拝廊にはグリゴルの聖遺物が安置されています。
マテナダラン
歴史的なアルメニアの写本を保管する博物館です。マテナダランと呼ばれる同様の施設は各地にありますが、エレヴァンのマテナダランは最大規模を誇り、中世から18世紀までの貴重な写本が約20,000円所蔵されています。分野は歴史、哲学、医学、天文学、芸術と多岐に渡り、展示物は訪問者も閲覧できます。
マテナダランは、中世アルメニアの建築様式に着想を得て設計されたといいます。建物の前面には、アルメニア文字を発明したメスロプ・マシュトツと弟子の像が飾られています。
写真・文 : 田村 公祐

