アルメニアがまだ異教の頃、早々にキリスト教を受け入れたグリゴルは、地母神アナヒトへの信仰を拒否したとして、王トルダト3世により、深い穴(ホルヴィラップ)に幽閉されてしまいます。13年もの間、村の女性がパンを投げ入れ続けたことで、グリゴルは穴の中で生き延びたといいます。
やがて、王は謎の病に冒されてしまい、助けを求めて遂にグリゴルを釈放しました。グリゴルが祈り、王の病が癒えると、王はキリスト教を受け入れ、アルメニアの国教に定めたのです。グリゴルにはルサヴォリッチ(啓蒙者)の称号が与えられ、現在でもアルメニアの人々に敬愛されています。
7世紀には、カトリコス・ネルセス3世の命により礼拝堂が建てられ、幾度かの建て替えの後、17世紀には現存するアストヴァツァツィン教会が建てられました。グリゴルが幽閉されていた穴の上には聖ゲヴォルグ礼拝堂が建てられ、穴の中は訪問者も見学することができます。
写真・文 : 田村 公祐

