ノラヴァンクとは新しい修道院を意味し、赤茶色の崖の前に建つ教会群は、中世アルメニアの傑作とも言われます。その起源には諸説ありますが、現存する構造物の多くは13-14世紀に遡ります。
聖カラペット(洗礼者ヨハネ)教会は、リパリット・オルベリアン王子により1216-1227年に建てられました。後の1261年には西隣に拝廊が設けられました。1275年には北隣に聖グリゴル礼拝堂が建設され、オルベリアン王家の一族が埋葬されています。
最も目を引く建築は、1339年創建の聖アストヴァツァツィン教会です。建築家・細密画家の巨匠モミックの最後の作品で、二階建てのユニークな構造と精巧なレリーフが特徴とし、一階部分は墓所となっています。
モミックの最期には伝説があります。オルベリアン王子の娘と恋に落ちた彼は、3年以内に壮麗な寺院を完成させるよう王子に告げられます。いよいよ完成間近となり、最後の仕上げでドームに上がると、王子の使用人に突き落とされてしまいます。モミックは最後の石材を抱えながら地面に倒れ、その石材は墓石となりました。敷地には多数のハチュカルが見られ、モミックの墓石もその中に含まれています。
写真・文 : 田村 公祐

