ラリシュ

イラク北部には、ヤズィーディーと呼ばれる、クルド語クルマンジー方言を話し、独自の信仰を守る人々が少数暮らしています。ラリシュは聖地とされ、ひときわ緑豊かな谷間に位置し、小川のせせらぎや小鳥のさえずりと相まって、さながら楽園のようです。

ヤズィーディーの人口は、多くがラリシュを中心とするシェハン地域、シリア国境近くのシンジャール地域に集中しています。聖書以前の伝統的な自然信仰を基礎にしつつも、イスラム神秘主義やキリスト教との習合も見られ、その成り立ちには諸説があります。現在の信仰体系を築いたのは、シェイフ・アディという12世紀の聖人で、ラリシュの中心には彼を祀る廟があり、行事の際はもとより、平時でも人々が参拝に訪れています。

この地域の人々は歓待好きですが、彼らの人懐こさは特別です。少数派であれば得てして閉鎖的になるものですが、ラリシュは万人に開かれており、儀式を見学するのに制限もほとんどありません。自分達の存在を、そして悲劇を認知してほしい、という意図があるのかもしれません。

彼らはその特異性から、歴史上しばしば迫害の対象となってきました。現トルコの南東部にもかつてはコミュニティが存在しましたが、オスマン帝国時代の迫害でほぼ姿を消してしまいました。2014年に過激派組織ISが台頭した際には、イラク北西部のシンジャール一帯が標的となり、多数の住民が虐殺され、女性は性奴隷とされました。

古代の伝統の継承者に、私たちは神秘性を覚えてしまいますが、平穏に暮らせることを願うばかりです。

道路から1kmほど参道を歩く (2017年4月)

小川に架かる橋を3往復すると赦しを得られるという (2017年4月)

柱に口づけをする男性 (2017年4月)

入口では靴を脱ぎ、裸足で歩かなければならない (2016年3月)

鳥の囁きが聞こえる (2016年3月)

この門の先にはシェイフ・アディの廟がある (2016年3月)

シェイフ・アディの廟 (2016年3月)

廟の内部には柱に無数の布が飾られている (2018年8月)

結んだり解いたりすることで、誰かの願いが叶うそうだ (2016年3月)

シェイフ・アディの石棺 (2018年8月)

儀式で使うオリーブオイルの壺 (2018年8月)

この先は神聖な場所で、ヤズィーディーでなければ入れない (2018年8月)

孔雀は彼らの信仰の象徴で、しばしばモニュメントとして描かれる (2018年8月)

廟の前では儀式が行われていることもある (2018年8月)

楽器を奏でる男性 (2018年8月)

ババシェイフと呼ばれる最高位の聖職者の一人だが、近年に惜しまれつつ亡くなった (2018年8月)

訪れた人々は皆口づけをしていく (2018年8月)

ラリシュの清掃をする役職の人々 (2018年8月)

緑豊かな丘を裸足で散策する (2016年3月)

シェイフ・アディの廟のほか、多数の建物で構成されている (2016年3月)

ラリシュの全景 (2016年3月)

子宝に恵まれるよう願掛けをする (2016年3月)

ノアの方舟に似た伝説があるそうだ (2018年8月)

儀式で使う燭台が描かれている (2018年8月)

新年には大勢の人々が訪れる (2017年4月)

所狭しと人々が集まる (2017年4月)

シンジャールより来たと思われる姉妹 (2017年4月)

孔雀を模した民族衣装の女性 (2017年4月)

民族衣装と洋服の女性 (2017年4月)

火は生命の象徴とされる (2017年4月)

紐にオリーブオイルを染み込ませて火を灯す人々 (2017年4月)

イースターと同様、色の塗られた卵を用いる (2017年4月)

ヤズィーディーにはカーストに類似した制度があり、出自や役職により衣装が異なる (2017年4月)

ゾロアスター教の聖職者と思われる男性 (2017年4月)

種火を持ちながら談笑する若い男女 (2017年4月)

翌日の新年当日はより多くの人々が集まる (2017年4月)

ヤズィーディーの旗を掲げる若者 (2017年4月)

クルドの旗をあしらった衣装を着る女の子 (2017年4月)

大勢の人で賑わう (2017年4月)

家族と過ごしたり、友人と再会を祝ったり、思い思いの時間を過ごす (2017年4月)

ピクニックをしている人も多い (2017年4月)

キャンプで作ったというイラク式ドルマ (2017年4月)

卵と卵をぶつけ合い、運勢を占う遊びがある (2017年4月)

音楽に合わせて踊る男女 (2017年4月)

緑に囲まれたシェイフ・アディの廟 (2017年4月)

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