アルコシュの町外れ、東に2kmほどの崖の中腹に、岩肌と同化するように建てられた修道院。創建は西暦640年頃とされ、長らく東方教会の重要拠点だったが、19世紀初頭にローマと融和し、カルデア・カトリックの管轄となった。麓から修道院のすぐ下までは舗装路が整備され、車を降りて150段ほど登ると入口がある。岩肌には無数の小部屋があり、最盛期には600人ほどの修道僧を擁した。イラクのキリスト教が危機に瀕する今では、かつての活気こそないものの、この地に栄えた古代のキリスト教を伝える遺産として大変貴重だ。
写真・文:田村公祐