エチミアジン

3世紀末、アルメニア王トルダト3世の治世では、ゾロアスター教から派生した伝統的な信仰が支配的でした。その王に仕えるはずだったグリゴルという男性は、早々にキリスト教を受け入れ、熱心な信者だったゆえに、地母神アナヒトへの信仰を拒絶し、地下牢に投獄されてしまいます。

時を同じくしてローマ帝国より、リプシメという修道女が皇帝からの求婚を逃れ、修道院長のガヤネや他の修道女らとともに、アルメニアへ助けを求めてきました。しかし、リプシメの美しさに一目惚れした王は求婚してしまい、断られた挙句にリプシメとガヤネを処刑してしまいました。その罰として王は謎の病に冒されます。

やがて王の妹は夢の中で、グリゴルだけが悪夢を終わらせられると天啓を受けました。妹の助言により、15年間幽閉されていたグリゴルを釈放すると、グリゴルは王のために祈りました。すると不思議なことに、たちまち王の病は癒やされたのです。こうして王はグリゴルより洗礼を受け、キリスト教を国教として受け入れました。

アナヒト神殿の跡地にはエチミアジン大聖堂が建てられ、リプシメとガヤネが殉教した地には、それぞれの名を冠した教会が建てられています。

エチミアジン大聖堂

4世紀初頭、アルメニア王トルダト3世と啓蒙者グリゴルにより、当時の首都であったヴァガルシャパトに建てられた大聖堂です。建物は17世紀から18世紀にかけて大規模な改修を経ており、現在の姿はその頃のものとされています。

アルメニア使徒教会の総本山となっており、毎週日曜の礼拝は一般公開されているほか、併設の博物館には、キリストの脇腹を刺したというロンギヌスの槍が保管されています。

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