ダルメスは、レバノン南部、デイル・ミーマース村のオリーブオイルメーカーです。
アラビア語でデイルとは修道院を意味し、住民はキリスト教徒が大半を占めています。名前の由来となった3世紀の聖人マメスは、村の守護聖人とされ、村外れのリタニ川を見下ろす崖上には、その名を冠した修道院も残っています。辺り一面に自生するオリーブの木は15万本を数え、古いもので樹齢2000年を超えるといいます。
この村は、わずか2km先に位置するイスラエルと、親イラン組織ヒズボラの勢力圏に挟まれ、地上の楽園のような景観とは裏腹に、絶えず情勢に翻弄されてきました。創業者であるローズ氏は、不安定な村の経済や、とりわけ困難な立場にある女性に寄与するため、2019年にオリーブオイル事業を立ち上げました。
この地域で栽培されるスーリ種は、世界最古の品種のひとつとされ、レバノン南部の港町スール(ティール)に由来し、他にはシリア沿岸部、ヨルダン、パレスチナ、イスラエルでも栽培されています。
ダルメスでは、農薬や化学肥料を使わず、オーガニック栽培を徹底しています。収穫は実が完熟する前に行われ、コールドプレスで抽出しており、高いポリフェノール含有量を誇っています。また、環境に配慮し、オリーブの搾りかすは、天然の肥料や燃料として再利用しています。
高品質なオリーブオイルは世界各国で高い評価を受け、先日ニューヨークで開催されたNYIOOCでも金賞を獲得しました。既に15ヶ国へと輸出網を広げており、現在はブランド産地としての、世界的な認知度向上を目指しています。
辺り一面にオリーブが自生している (2022年8月)
オリーブの古木 (2022年8月)
デイル・ミーマース村の路地 (2022年8月)
至るところにザクロやいちじくが実っている (2022年8月)
聖マメスに由来する修道院 (2022年8月)
創業者のローズ氏
収穫を手伝う村の男性
収穫には500人を超える住民が動員される
東地中海沿岸に特有のスーリ種
村の設備で製造されている
イタリアの品評会では金賞を獲得した
EUにおいて健康増進効果を認められている
高いポリフェノール含有量を示すギリシャの試験成績書